18.5.22 メニュー名や解説が長い飲食店の魚は割高である事を知っておこう ~魚が美味しいお店の見分け方 第14回~

五種盛りより三種盛りを頼め 外食で美味しくて安全な魚を食べる方法」にも書かれている魚が美味しいお店の見分け方をこちらでもお伝えしています。

第14回 メニュー名や解説が長い飲食店の魚は割高である事を知っておこう

【理由】そのコストを日々の仕入れに掛けたほうが魚は美味くなる

 

  • こういう定番メニューがあったら要注意

魚に限った話ではないですが、定番メニューでやたらと長い名前のメニューというものを見かけます。例えば、「新鮮!銀ダラの西京みそ仕立て ししとうを添えて」「本場の味!獲れたて魚介と旬の野菜の濃厚アクアパッツァ」のような感じのメニューです。また、短いメニュー名であっても、昨今のトレーサビリティへの意識の高まりや売り方の変化で「どういう人がどのようにして獲った魚で・・・」といったことや「〇〇という魚は、別名~とも言われ・・・」といったように長い解説が載っている場合があります。

このようなメニュー表記は、豊富な文字情報から食卓に上るメニューのイメージを詳細に描きやすくするため、一見丁寧で親切なようにも思えます。しかし、このような定番メニューを作成するにはある程度のコストが掛かります。そこに掛けられるコストは、日々の素材の仕入れに回らなくなるか、価格そのものに少なからず上乗せされますから、結果的に割高なものが出てくる可能性が高くなってきます。

 

  • メニュー名や解説に力を注ぐ意図

飲食店がメニュー名や解説に力入れている場合、その意図はなんでしょうか。

例えば、単に「銀ダラの西京焼き」だけだと、どのような銀ダラの西京焼きが出てくるかイメージができません。それを「新鮮!銀ダラの西京みそ仕立て ししとうを添えて」とします。すると、まず、頼む側に「ししとうが添えられているんだな」と料理のイメージより鮮明に持ってもらえるようになります。また、銀ダラの「新鮮」というセールスポイントを頼む側にアピールすることができます。

さらに、ここに「銀ダラは、どういう魚で、どこで獲れたものをどのように処理し・・・」といった解説を加えることで、頼む側に安心感を与えることができます。

細かな意図は様々ですが、長い名前のメニューや解説文は、頼み側に安心感を与え、頼みやすくさせる効果があり、それらを意図している場合が多いと思います。

  • 魚の場合、その労力には無駄が多い

しかし、これらの長いメニューや解説文には弊害もあります。

まず、使う素材が限定されてしまう可能性が高く、広い選択肢からその日のベストな素材を選べなくなります。また、一生懸命メニューの詳細や料理の解説を伝える定番メニューを作っても、変化が激しい魚の場合、品質や使う素材やメニューそのものが変わってしまう恐れがあるのです。

先ほどの銀ダラの例ですと、当初手に入っていた新鮮な銀ダラが手に入らなくなるかもしれません。また、「どこで獲れたものをどのように処理し・・・」と一生懸命解説文を作っても、その状態をどのくらい続けられるか定かではないのです。

 

  • 魚を知る飲食店は見せ方よりも日々の魚と向き合っている

以上のように、よりよいメニュー名や解説文の作成は、そのメニューが当分の間変わらないという前提がある中でコストを掛ける価値が出てきます。しかし、品質が変化しやすい魚の場合、そこにコストを掛けるのは効率的とは言えません。

これも繰り返しになりますが、魚を知る飲食店の場合、メニューはなるべくシンプルにし、日々使える素材の選択肢を広くすることで、よりベストな魚を選べるようにしています。さらには、定番メニューそのものが入荷状況等で変わってしまう恐れがありますから、そこにあまり労力は割かないのです。

長いメニュー名や解説文は食べる側の脳を刺激し、より楽しく食事ができるようになる部分もあるかもしれません。しかし、定番メニューの場合には注意が必要です。

 


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■「本日の獲れたて鮮魚」がある店には注意しよう
■魚のアラや頭を使ったメニューがあるお店を選ぼう
■水・日・祝に干物を勧めるお店を選ぼう
■生け簀に魚が泳いでいるお店はやめておこう
■イカ一夜干しにタレがかかっている店には注意しよう

…などなど今日から役立つ知識が満載!