18.5.7 「産地直送」を謳っている魚にも期待し過ぎないでおこう ~魚が美味しいお店の見分け方 第10回~

五種盛りより三種盛りを頼め 外食で美味しくて安全な魚を食べる方法」にも書かれている魚が美味しいお店の見分け方をこちらでもお伝えしています。

第10回 「産地直送」を謳っている魚にも期待し過ぎないでおこう

 【理由】届くまでの物流ルートは他のものとほぼ変わりない

●「産地直送」だから美味しいと思わないで
定番メニューで「産地直送」という文字を見る場合があり、そういう枠でカテゴリ化されている場合も見受けられます。「産地直送」というと「産地からすぐ届いて新鮮そうで美味しそう!」というイメージを持たれるかもしれないのですが、まずは冷静に考えてみてください。「産地直送」って何?と。

●「産地直送」の定義
まず、「産地直送」の言葉の定義ですが、明確に定まっている訳ではありません。ただ、一般的には、産地の生産者と直接取引した物を指すことが多いです。ここで着目して欲しいのは「取引」という言葉です。「取引」とは商用上の手続きのことです。つまりは、産地の生産者と話をして「これをいくらでちょうだい。」「わかったよ。送るね」というやり取りをすることです。

●宣伝文句でしかない「産地直送」
では、物流はどうかというと、宅配便や市場便など、結局通常の流通と同じルートを辿ることとなります。例えば、長崎から東京まで直送と言っても、結局は長崎で集荷をされてトラックなどで東京に着き、物流センターや市場などで小分けにされてそれぞれのお店に届くというルートです。これは、直接生産者と取引をせず、中間業者と取引をした場合と同じルートです。確かに、確実に途中で止まることなく荷物が流れるという意味はあるかもしれませんが、産地直送以外の場合も同様に止まることなく荷物が流れる場合も珍しくはありません。
もう一点「産地直送」の意義としては、中間業者に取られるマージンを削減して安く仕入れられるという点が上げられます。しかし、中間業者に出す時の値段と直接取引する時の値段を変えることは普通にできます。さらに、宅配便を使えば市場流通と比較して物流コストが高くなり、その分仕入れコストが上乗せされます。要するに、中間マージンは削減されても、トータルの仕入れコストが削減されるかは分からないのです。
さらに言うと、「産地直送」には弊害もあります。それは、消費地の中間業者の目利きが省かれてしまうことです。一時期、物流から中間業者を省く「仲抜き」という言葉が流行りましたが、最近では逆に中間業者が持つ目利き機能が見直されてきています。産地の生産者は、生産のプロであっても、よりよい魚を選ぶ目利きのプロではないのです。さらには、どのような魚を好むかは日本においては本当に地域それぞれです。生産者は自分のところで好まれる魚がよいと思って、魚を選び出荷しがちですが、消費地では好まれなく全然売れないということが起こりがちです。

では、「産地直送」を謳う意味は何か。市場流通外も含めた広い選択肢から選べるという意味はあるかもしれません。ただ、お店がそれを謳う場合、もうこれは「何となくいいイメージにあやかれる」という事以外にないのではないでしょうか。平たく言うと「産地直送」は、宣伝文句でしかないように思います。その言葉に価値を感じてお金を払うのは個人の自由です。ただ、美味しい魚が食べたいだけであれば、「産地直送」かどうかは関係がないことです。

●やはりいる「産地直送」が好きな一部の人たち
やはりいるのが「産地直送」という言葉が好きな方々です。しかし、ここまで述べたように「産地直送」であるかどうかは、魚が美味しいかどうかとは関係がありません。それは宣伝文句でしかないので、「産地直送」という言葉に捕らわれず、目の前にある魚そのものが美味しい状態なのかどうかを見るようにするとよいと思います。


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■「本日の獲れたて鮮魚」がある店には注意しよう
■魚のアラや頭を使ったメニューがあるお店を選ぼう
■水・日・祝に干物を勧めるお店を選ぼう
■生け簀に魚が泳いでいるお店はやめておこう
■イカ一夜干しにタレがかかっている店には注意しよう

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