「五種盛りより三種盛りを頼め」の中で書きましたが、「今ドキの漁師は演歌を聴かない」です。
このことについて、「では、何を聴いているのですか?」という質問を先日いただきました。答えとしては、一般的に皆さんが聴いている音楽とあまり変わらない、となります。
私が書籍にこのようなことを書いたのは、テレビのドキュメンタリー番組などで描かれる漁師像が実際とかけ離れており、色々な漁師がいることを伝えたかったからです。また、難しく言うと、漁師にはステレオタイプが存在すると思っています。
にしても、この「漁師=演歌」というイメージ、なぜついてしまったのでしょうか。それについて、自分なりに考察してみました。
まず、演歌には、元々漁業を扱った歌が一定数存在します。鳥羽一郎さんの「兄弟船」や八代亜紀さんの「舟歌」などがそうですが、これらのキャンペーンや何やらで漁港近くでの興行が盛んな時期がありました。その場で、実際に歌手を目にするとファンになる方が多いと思います。「うちのところによく来てくれた」という思いも生まれるでしょう。そして、ファンになった漁師さんは、演歌を聴くようになる。おそらく、こんなAKBの先駆けともいうべきことが理由となっているように思います。
今はどうかというと、そういった興行がないわけではないですが、以前よりは盛んではないですし、若い人の姿はあまり見られないかな。最近では、漁業の現場の世代交代も進んでいます。それに、漁業を扱う演歌も少なくなってきていると思います。昔の漁業が盛んだった時代は、漁業従事者や漁業に関連する仕事をされている方も多かったと思うので、レコードのセールスを考えるとそういった題材を扱うと売れるという側面もあったのかもしれません。
漁師=演歌はまだ良いのですが、個人的な思いでは、時代にそぐわない漁師のイメージを現代版に改めていくことは必要だと思います。
上に「テレビのドキュメンタリー番組など、、、」と書きましたが、マンガ・アニメ・ドラマなどのフィクションはどうなのかというと、漁師を題材にしたものは、ここのところほとんど見られません。しかし、フィクションが世間のイメージに与える影響は大きいと思います。漁師の世界ってネタも沢山あり、フィクションの題材としても面白いと思うので、扱ってもらえるように、私としても様々な方と関わって働きかけていければと思っています。