五種盛りより三種盛りを頼め 外食で美味しくて安全な魚を食べる方法」にも書かれている魚が美味しいお店の見分け方をこちらでもお伝えしています。

第7回 「本ズワイガニ」には期待しないでおこう

【理由】見栄え重視で品質以上に誇張されている可能性が高い

 

  • 「本ズワイガニ」って一見高級そう

定番メニューで「本ズワイガニ」という言葉を見かけることがあり、魚業界の一部の人の間ではちょっと問題視されています。「本ズワイガニ」というと「本当のズワイガニ?美味しそう。」なイメージがあるかもしれません。ただ、その反応を担当者は狙っています。本表記は間違いではないのですが、いろいろな事情をはらんでいます。

 

  • 広い意味の「ズワイガニ」と狭い意味の「ズワイガニ」

そもそものズワイガニについてですが、タラバガニ、毛ガニと共に「三大ガニ」と呼ばれる事もあるカニで、皆さんもご存知だと思います。タラバガニは身が肉厚、毛ガニはミソが濃厚、ズワイガニはその両方を楽しめると言われます。ちなみに、よく聞く「越前がに」「松葉ガニ」もズワイガニでそれぞれの地域で獲れたズワイガニのブランドです。

ただ、ズワイガニというと種族の異なる「オオズワイガニ」や「ベニズワイガニ」など、その仲間を含めた広い範囲を指す場合も稀にあります。「本ズワイガニ」とは、その仲間たちでなく、「狭い意味での「ズワイガニ」ですよ」ということを言いたいのです。

 

  • 「本ズワイガニ」と表記する意図

「本ズワイガニ」という表記は、単純に種の違いを強調して表す意図で使われる場合もあります。商品に「ズワイガニ」と「オオズワイガニ」があり、その区別を分かりやすくするために「本ズワイガニ」と表記する場合がそうです。

しかし、そのような場合を除いて、通常の流通では「ズワイガニ」は「本」を付けずに単に「ズワイガニ」と呼ばれることが一般的です。それでも「本」をつけるケースは大衆店に多く、高い価値がつく「本ズワイガニ」が持つ価値にあやかりたい意図があるように思います。

ここで、気をつけて欲しいのは「本ズワイガニ」も品質はピンキリだということです。品質が悪く安いズワイガニでも「本ズワイガニ」と謳うことはできます。それだったら、「本ズワイガニ」でなくても同じ値段で美味しい別のカニを食べた方がいいですよね。でも、同じ値段だったら美味しくなくても「本ズワイガニ」を謳える商品の方が売れてしまうのが今の世の中ではないでしょうか。

 

  • やたらと「本」が好きな一部の人たち

このように、魚業界にはやたらと「本」が好きな人たちがいます。こういった商品が蔓延すると『「本」が付かない商品は、ニセモノで美味しくない。』という誤った認識が広まってしまうのではないかと懸念しています。

単に「ズワイガニ」とだけ書いてあれば「本ズワイガニ」でニセモノではない場合が通常です。また、「本ズワイガニ」よりも価値が低いとされる「ベニズワイガニ」でも、良い品質のものは「本ズワイガニ」を謳う商品と比較しても美味しい場合が多々あります。「本」という言葉は単なる宣伝文句であることも多いので注意しましょう。

 


こちらの内容が書かれている書籍

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出版社:秀和システム
本体価格:1500円(税別)
ISBN:978-4-7980-4661-7
形態:四六判 304ページ

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■「本日の獲れたて鮮魚」がある店には注意しよう
■魚のアラや頭を使ったメニューがあるお店を選ぼう
■水・日・祝に干物を勧めるお店を選ぼう
■生け簀に魚が泳いでいるお店はやめておこう
■イカ一夜干しにタレがかかっている店には注意しよう

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    18.5.1 「本ズワイガニ」には期待しないでおこう ~魚が美味しいお店の見分け方 第7回~” に対して1件のコメントがあります。

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