「五種盛りより三種盛りを頼め 外食で美味しくて安全な魚を食べる方法」にも書かれている魚が美味しいお店の見分け方をこちらでもお伝えしています。
第13回 「ジューシーホッケの炙り」があるお店には注意しよう
【理由】干物や加工品といえど、品質が変わりやすいのが魚という食材
- 「ジューシーホッケの炙り」は本当にいつもジューシーなのか
定番メニューで「ジューシーホッケの炙り」といった様なものを見かけます。この他にも「プリプリえびのフライ」といったように、妙な擬態語、擬音語などの形容詞が付いているメニューには要注意です。「ジューシーホッケの炙り」であれば、「ホッケの干物」と書いてもよいのです。「どのようにメニューを書けば、お客様により頼んでもらえるか」と飲食店側は努力しています。それ自体は特に悪いこととは思いませんが、では「そのホッケは本当にいつもジューシーなのか」ということを疑問に思ってしまいます。
- 干物や加工品なら品質はいつも一定なのか
生の魚と比べて、干物などの加工品は品質のバラつきが少なくなります。これは、同じ原料を使い、ある程度の量を生産すること、加工することで品質が変わりにくくなること、冷凍など品質を保つ流通が容易になること、などに起因します。ですので、加工品は生の魚と比べると、いつでも置いておかなければならない「定番メニュー」に向いています。
例えば、ホッケの干物の場合、原料の産地は主にロシアやアメリカ、北海道などです。一般的には、凍結された原料をまとめて仕入れ、解凍して、処理し、乾燥機に掛け、また凍結して保存します。このようにするので、比較的安定供給でき、日々品質が変わることはなくなります。
しかし、ホッケはすべて漁獲によるものですから、それぞれの産地で獲れたり獲れなかったりします。そうすると原料の価格が動きます。数ヶ月前まで北海道産の原料を使っていたのが、不漁で価格が上がり、使う原料を見なおさざるを得ない、というようなことは水産加工の世界では珍しくありません。それでも同じ原料を使うなら今度は売値が上がります。数ヶ月前まで飲食店に1尾280円で卸していたものが350円になる、といった具合です。そうすると今度は、飲食店側が仕入れる商品を見直さないと採算が合わなくなる、このような事が裏では起きているのです。
- 店側としてはやはり美味しそうに見せたい。でも・・・
以上のように、いくら加工品でも、数ヶ月単位で見れば品質が変わってくる可能性が十分にあります。「ホッケの干物」は年中出せるかもしれませんが、「ジューシーホッケの炙り」は年中出せるか分からないのです。もちろん、メニューを作った当初は、ジューシーなホッケを選んでいたはずです。しかし、それと同じホッケが年中出せるとは限らないのです。
このあたりの事情を分かっている飲食店の場合、定番メニューは「ホッケの干物」などとシンプルに書かれています。「ジューシーホッケの炙り」と「ホッケの干物」では、ジューシーなホッケが出てくる確率はさほど変わりません。
- 定番メニューの形容詞には注意
このように、定番メニューに品質を連想させる形容詞が付いていた場合は要注意です。この他の例としては、「脂の乗った~」「まろやか仕立ての~」「シャキシャキ食感の~」などが挙げられます。魚は極めて品質が変わりやすい食材ですので、メニューを作った当初から品質が変わっている可能性があります。このような形容詞が付いていたからといって期待するのは止めましょう。
こちらの内容が書かれている書籍
出版社:秀和システム
本体価格:1500円(税別)
ISBN:978-4-7980-4661-7
形態:四六判 304ページ
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■「本日の獲れたて鮮魚」がある店には注意しよう
■魚のアラや頭を使ったメニューがあるお店を選ぼう
■水・日・祝に干物を勧めるお店を選ぼう
■生け簀に魚が泳いでいるお店はやめておこう
■イカ一夜干しにタレがかかっている店には注意しよう
…などなど今日から役立つ知識が満載!
“18.5.11 「ジューシーホッケの炙り」があるお店には注意しよう ~魚が美味しいお店の見分け方 第13回~” に対して2件のコメントがあります。
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