「五種盛りより三種盛りを頼め 外食で美味しくて安全な魚を食べる方法」にも書かれている魚が美味しいお店の見分け方をこちらでもお伝えしています。
第8回 「活」を謳っている魚には期待しないでおこう
【理由】「活」の状態が美味しいとは限らず、品質が誇張されている場合も
- いかにも新鮮そうな「活」
定番メニューでも「活アジ」や「活ハマチ」のように、「活」という表記を見ることがあります。いかにも新鮮そうで、思わず頼みたくなってしまうかもしれませんが、一回落ち着いて下さい。まず、「活」の意味とは何なのでしょうか。そして、「活」がつく魚は、本当に美味しいのでしょうか。
- 「活」とは
何となく新鮮な感じがする「活」ですが、まず、「イキ」「イケ」「カツ」などと読みます。この「活」の定義は、きちんと存在するわけではありませんが、「活魚(かつぎょ)」の状態で流通するものに付ける場合が一般的だと思います。
「活魚」とは生きたまま流通する魚たちです。分かりやすく言うと、お店の生け簀に入れられている魚たちがそうです。そうでなくても、お店まで生きたまま運ばれてきた魚を活魚と呼んでいるケースは見られます。また、「活」とは別に、魚を血抜きするなど、特殊な処理をした場合の「活〆(イキジメ、イケジメ、カツジメ)」という言葉もあり、この「活〆」も「活魚」に含むとしている場合もあります。
この「活魚」に対して、死後に生のまま流通する魚を「鮮魚」、凍結して流通する魚を「冷凍魚」、塩漬けにされた魚を「塩魚」と一般的には呼び、「活魚」とは区別されます。
この「活」の表記についても、ルールが定められている訳ではないので、付けるか付かないかは事業者次第です。仮に活魚のアジであっても「活アジ」と表記する必要はなく、単に「アジ」と表記しても良い事になります。
- 「活」をつける意図
さて、やたらと「活」の文字が定番メニューで目立つ飲食店を見ることがありますが、必要のない「活」という表記をわざわざする意図は何なのでしょうか。
1つは、「活魚」と「活魚でない魚」の2種類のメニューがあり、単純に区別をする意図があります。例えば、生け簀にアジが泳いではいるが、そうでないアジもメニューにある場合です。生け簀のアジを指す場合は「活アジ」、そうでない方は単に「アジ」となります。このケースは、特に問題ないでしょう。
もう1つは、「活」という言葉が持つ価値にあやかりたいケースです。
ただし、これには弊害もあって、定番メニューで「活」を謳うと使える素材が「活魚」のみとなり、選択肢が狭まることになります。「活」を謳わなければ、「活魚」を含むあらゆる状態の魚から最も良い素材選んで提供することができるのです。
- 「活魚」ってそもそも美味しいのか
「活魚」には、良い面と悪い面があり絶対的に美味しいとは言えません。例えば、狭い水槽で泳ぐことでストレスが溜まって味が損なわれることが言われています。また、魚種によっては、熟成が進んだ方が市民の口に合う味に仕上がる場合もあります。
ただ、鮮度がよく臭みが少なめで食感がよいので、活魚の方が向く料理や活魚が好まれる食文化の地域というものはあります。「活魚」は状況に応じて使うのがよいのです。
それでも定番メニューに「活〇〇」を書くということは、味よりも見栄えやパフォーマンスを重視したいのかなというように受け取れてしまいます。「活」がつく魚に期待しすぎるのは止めましょう。
こちらの内容が書かれている書籍
出版社:秀和システム
本体価格:1500円(税別)
ISBN:978-4-7980-4661-7
形態:四六判 304ページ
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■「本日の獲れたて鮮魚」がある店には注意しよう
■魚のアラや頭を使ったメニューがあるお店を選ぼう
■水・日・祝に干物を勧めるお店を選ぼう
■生け簀に魚が泳いでいるお店はやめておこう
■イカ一夜干しにタレがかかっている店には注意しよう
…などなど今日から役立つ知識が満載!