18.4.28 刺身の提供時間を気にかけて、とにかく早くに食べよう ~魚が美味しいお店の見分け方 第4回~

五種盛りより三種盛りを頼め 外食で美味しくて安全な魚を食べる方法」にも書かれている魚が美味しいお店の見分け方をこちらでもお伝えしています。

第4回 刺身の提供時間を気にかけて、とにかく早くに食べよう

【理由】魚は細かくなるほど劣化速度が早くなる

 

  • 5種盛りよりも3種盛りがオススメなもう一つの理由

5種盛りよりも3種盛りがオススメなのは、「種類が多くなればなるほど「ハズレ」が入り込みやすくなる」という点もありますが、もう一つ理由があります。それは、5種盛りの方が単純に時間が掛かるからです。「え?それだけ?」と思われるかもしれませんが、この「それだけ?」が結構バカにできないのです。

 

  • 細かくれば細かくなるほど

まず、ご存知の通り、魚は高い温度の空気中に置かれるとみるみるうちに品質が劣化していきます。そもそもの話ですが、魚の品質が悪くなる原因は、水分中の細菌によるものであったり、空気中の酸素と触れて酸化する事によるものです(その他にもありますがここでは話を簡単にするため、代表的なこの2点に絞って話を進めます)。ですので、菌が繁殖しやすい高い温度に置かれたり、空気に触れる面積が増えると魚の品質劣化の速度は早まります。

おろしたての魚は美味しいと言われますが、それは品質劣化が早まる前に口に入るためです。魚は、丸々一匹から、半身、柵、刺身といったように捌かれて細かくなってしまうほど鮮度劣化が早まっていきます。これは、捌いているうちに温度が上がったり、空気と触れる面積が大きくなって酸化しやすくなるためです。

少し話が難しくなってしまいましたが、要するに細かくなればなるほど、魚の鮮度が悪くなるスピードが速まるということです。そして、これが刺身レベルの細かさとなると常温の空気中にさらされるのが数分といえど、影響が大きいのです。

 

  • 刺身の提供時間を気にかける

話を戻すと、5種盛りのうち少なくとも2種は、3種盛りよりも長い時間、鮮度劣化の早い状態に置かれることとなります。確かに、腕のよい料理人であれば、その時間を短くしたり、よりその影響が少なく劣化しにくいものを先に盛りつけたりと、ほとんど影響はないと思います。しかし、妙に時間が掛かっているなという時は要注意です。特に、調理場が見えるオープンキッチンの場合、刺身の盛り付けに時間が掛かっている様子が伺えたら5種盛りは避けた方がよいでしょう。

 

  • こういう食べ方はやめましょう

ちなみに、より美味しい魚が食べたければ、刺身を食事の最初に注文して、食事の最後のあたりで食べる事はやめましょう。テーブルに置かれている間、その刺身はみるみると劣化しており、提供された時点と別物になっています。これでは、せっかくお店が努力してよい刺身を出しても台無しです。刺身は頼んだらすぐに食べる、食べる分だけその都度頼む、この点を気をつけるだけでも、より美味しい魚を口にすることができます。

 


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出版社:秀和システム
本体価格:1500円(税別)
ISBN:978-4-7980-4661-7
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■「本日の獲れたて鮮魚」がある店には注意しよう
■魚のアラや頭を使ったメニューがあるお店を選ぼう
■水・日・祝に干物を勧めるお店を選ぼう
■生け簀に魚が泳いでいるお店はやめておこう
■イカ一夜干しにタレがかかっている店には注意しよう

…などなど今日から役立つ知識が満載!

18.4.27 5種盛りがあっても3種盛りを頼もう ~魚が美味しいお店の見分け方 第3回~

五種盛りより三種盛りを頼め 外食で美味しくて安全な魚を食べる方法」にも書かれている魚が美味しいお店の見分け方をこちらでもお伝えしています。

第3回 5種盛りがあっても3種盛りを頼もう

【理由】種類が多くなればなるほど「ハズレ」が入り込みやすくなる

 

  • 「鮮魚○種盛り」は定番だけど難しいメニュー

定番メニューで、「鮮魚3種盛り」「鮮魚5種盛り」というメニューを見たことはないでしょうか。軽い気持ちで鮮魚5種盛りのような定番メニューを頼まれる方もいると思います。でもそのメニュー、お店側からするとハードルが高いので、少し考えて頼むようにしましょう。

 

  • 100点満点の魚を5種類も揃えるのはたいへん

美味しい魚を食べたい場合、3種盛りと5種盛りがあったら、3種盛りを頼むことをオススメします。なぜかというと、美味しい魚を5種類も揃えるのは、非常に大変だからです。

そもそも、様々な魚がある中で、それぞれの魚でその日の品質は異なります。例えば、「今日のイワシは100点の味だが、サバは50点の味」といった具合です。魚の品質は、魚の特徴、旬、いつ獲れたか、どこで獲れてどのように流通されてきたか、どのように調理されたか……といった様々な要素が関係してきます。

しかも、品質が変わりやすい魚の場合、これらの要素1つ1つの重みが大きくなります。例えば、獲れた時点で100点の味だったサバでも、流通の途中の扱いが悪いと50点以下の味になってしまうかもしれません。100点のサバを口にするには、流通のすべての工程で100点を取り続けたサバでなければならなく、かなり大変なことです。「鮮魚◯種盛り」の場合、これが◯種の魚ごとに求められてくるのです。

例えるなら、飲食店側にとって鮮魚5種盛りとは、5科目全てで良い点数を求められるテストのようなものです。これが3種盛りとなると、3科目だけ良い点数を取ればいいということになります。出す魚は、その日の条件の良いものから順に選ぶことができるので、魚種が少ないほうが、品質のよい魚が占める割合や確率が高くなってきます。

 

  • 結局は何を求めるか。とにかく美味しい魚が食べたいなら・・・

もちろん、味よりも見た目の華やかさやバラエティの豊富さを重視したいという目的であれば、多少状態の悪いものが入っても5種盛りを頼むのは、むしろ正解と言えます。結局は何を求めるかなのですが、確実に美味しい魚が食べたいということであれば、より種類の少ない方をオススメします。

 


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18.4.26 「本日の獲れたて鮮魚」は、本日獲っていない事を知っておこう ~魚が美味しいお店の見分け方 第2回~

五種盛りより三種盛りを頼め 外食で美味しくて安全な魚を食べる方法」にも書かれている魚が美味しいお店の見分け方をこちらでもお伝えしています。

第2回 「本日の獲れたて鮮魚」は、本日獲っていない事を知っておこう

【理由】流通の関係上、その日獲れた魚が毎日入荷することは無い

 

  • いかにも新鮮そうな「本日の獲れたて鮮魚」

定番メニューで「本日の獲れたて鮮魚」などとデカデカと謳われている事があります。いかにも「今日獲れた魚で新鮮そう」と思われるかもしれません。しかし、魚のことを分かっている、かつ正直な担当者であれば、このような事は書かないはずです。

 

  • 「本日の獲れたて鮮魚」という日本語を紐解く

まず、日本語の問題ですが、以下の点を考えてみてください。

①「本日の」は何が本日か

「本日の」は、どこに掛かっているのでしょうか。「本日の獲れたて」なのか、はたまた「本日の鮮魚」なのかが定かではありません。

②いつまでが獲れたてか

「獲れたて」とは獲れてからどのくらいまでの魚をいうのでしょうか。「獲れたて」とは、主観的な言葉です。客観的にどのくらい新鮮なのかは分かりません。

このように「本日の獲れたて鮮魚」と言うと、いかにも「今日獲れたばかりの新鮮な魚」と思ってしまうかもしれませんが、「7日前に獲れた魚」を指しても間違いではないことになります。「あくまでも、本日提供する鮮魚で、「本日獲れた」とは言っていない」「自分は7日経っても獲れたてだと思う」と言われればウソではないのです。

 

  • その日獲れた魚が毎日入荷することはあり得ない

ここからは流通の事情の話をします。まず、魚が常に毎日獲れるということはあり得ません。これは、主に天候の影響や、毎日漁に出ていたら魚が獲れなくなるため自主規制をしている、などの理由です。仮に、ある期間に日本全国どこかしらが毎日出漁していたとしても、店に着くまでの流通があります。近くの港が休漁であれば、遠くの港が出漁していたとしても、今日獲れた魚は店には届かないのです。

もう1点考慮が必要なのは、休市日です。市場は、毎日開いてなく、通常週に1、2回の休市日があります。市場流通が減ったとはいえ、依然として半分の水産品が市場流通によるものです。その影響は大きく、「休市の日を休みとする」のは業界の慣習で、漁もそれに合わせて休みとなります。また、市場流通を使っていなくても、周りの業者に合わせて、休市日を休みとする業者は珍しくありません。

 

  • 「本日の獲れたて」に期待し過ぎないように

ハッキリ言ってしまうと「毎日、今日獲れた魚が店で出てくる事」はありません。定番メニューで「本日の獲れたて鮮魚」と書かれていても「アピールが過ぎているなぁ」くらいに思い、期待し過ぎるのはやめましょう。「本日の獲れたて鮮魚」でなくとも、美味しい魚は、沢山存在するのですから。


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18.4.25 魚に「いつもある」はあり得ない、と心得よう ~魚が美味しいお店の見分け方 第1回~

五種盛りより三種盛りを頼め 外食で美味しくて安全な魚を食べる方法」にも書かれている魚が美味しいお店の見分け方をこちらでもお伝えしています。

第1回 魚に「いつもある」はあり得ない、と心得よう

【理由】種類が多く、それぞれの供給が不安定で、ストックが難しいから

 

  • 定番メニューとは・・・

ここで取り上げる「定番メニュー」とは、「いつもあるメニュー」のことを指します。手書きの日替わりメニューではなく、キチンとした印刷がされていて、毎日あるメニューです。しかし、いつも同じ素材が入荷するとは限らないのが「魚」という食材の最大の特徴であったりします。

 

  • 食材としての魚の三大特徴

日本において食材としての魚を考える際、次の3点が非常に特徴的ですので、まずは前提として抑えておきましょう。

①種類が多い

生物的にも数百種類の魚が国内に流通しています。さらに、生物的には同じ種類だとしても、産地や漁法などよって味がまったく異なり、食材としては別物とされている場合もあります。このように、魚という食材は種類がとにかく多いのです。

②供給が不安定

国内に流通する魚は、漁によって供給されるものが依然として半分を超えています。出漁の機会が天候により左右されるなど、魚の供給は不安定になりがちです。

③品質が変わりやすくストックが難しい

品質を保つ技術は高まってきています。しかし、生で品質劣化しやすい状態のまま流通し、ストックしておくことが難しい事が多いのが現状です。

 

  • だから、「いつもある」はあり得ない

このように、①多くの種類があり、②いつどのくらい入荷するか正確には分からず、③ストックしておく事が難しい、というのが魚という食材です。これらの特徴から、何種類ものまったく同じ品質の魚を常に調理場に置いておくことは、かなり難しいことなのです。「魚に『いつもある』はあり得ない」とはそのようなことを指します。

 

  • いつもあるメニューなのに、材料はいつもあるとは限らない矛盾

ここまでの話を踏まえると、魚の定番メニューは、「いつもあるメニュー」であるのに、「材料はいつもあるとは限らない」という矛盾を抱えているようにも思えてきます。実際のところはどうなのでしょうか。そこには、飲食店の並ならぬ努力、はたまた、カラクリが存在しています。

 

  • この先の記事

さて、本記事のこの先は、飲食店によくある魚の「定番メニュー」をテーマに、飲食店の裏側について触れています。魚が美味しい飲食店の特徴や見抜き方、より美味しい魚が食べられるテクニックなどについて学んでいきましょう。

 


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■魚のアラや頭を使ったメニューがあるお店を選ぼう
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■生け簀に魚が泳いでいるお店はやめておこう
■イカ一夜干しにタレがかかっている店には注意しよう

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